エコミュージアムワークショップあさひまち宝紀行 

「紅葉の城下町“新宿”を訪ねる」
平成17年11月6日(日)午後1時〜

 


 11月6日曇り。参加者20人。
 開会前に史編纂室の勧めで、明治8年に作られた宮宿・新宿地区の宅地を明らかにした大地図(史編纂資料)を拝見させていただきました。その大きさと詳しさに参加者の皆さんは一様に驚いていました。そして、これから訪ねる新宿地区の位置や地形も地図で確認し、創遊館をあとにしました。
  途中、小川で自然に飼われていたアヒルに歓喜したり、見かけない植物を教えあったり、道草をしながら「薬師堂」参道入口に15分程で着きました。


 
大地図の大きさにびっくり
小川のアヒル

 

 りんごのたわわな実りを横目に参道を登っていくと、お堂のところで講師をお願いした熊谷與志雄さんと、区を代表して今井康夫さん(副区長)が出迎えて下さいました。参道は、前日に地区の皆さんが草刈りをして下さったそうで、とてもきれいに整備されてありました。そして、成原浩さんのとても美味しいりんごを思いがけずごちそうになりながら、熊谷さんのお話がいよいよ始まりました。
  熊谷さんは15年間も区長を務められ、その間に薬師様の修復や県の文化財指定に向けてご尽力下さった方です。薬師如来像は平安時代の作であること、小さな村なのに日天・月天菩薩や眷属の十二神将まで揃っているのはとてもめずらしいこと、羽黒山の末寺不動院で代々管理してきたこと、多くの皆さんの寄付で修復できたことなど、詳しく教えていただきました。お堂の電灯の明かりのもとはじめて拝見した薬師様のお顔立ちは、熊谷さんのおっしゃるとおり柔和な優しさを感じ、一同ありがたく合掌させていただきました。

 

 

 


標柱


参道


不動院跡

薬師堂 熊谷さん(右)

 

 

 「東永寺」では、元々は館山の中腹に創建されていたことや、檀家を持たない祈願寺だったこと、母乳が出なくて困っている人を助けてくれていた乳地蔵様であることなどの話を伺いました。なかでも寺子屋の歴史はとても古く、裕福な子供だけでなく、区別なしに使用人などの子供も学ぶことができたという話に感動しました。お堂の傍らにある「児翫」の石碑はその事実を物語る証だそうです。
 すぐ近くにある木造の蔵「郷蔵」は、冷害や干ばつなどの不作時に備えて部落で米を蓄えておいた建物だそうで、江戸時代から昭和まで続いてきた歴史があるそうです。

 

 
東永寺 乳祈願

「児翫」の石碑

郷倉

 

 

 江戸時代を思わせるような「旧新宿警備所」は、下がポンプ庫、上が火の見やぐらになっていたそうで、扇形の窓がとても印象的でした。明治時代の建築物と推測されるそうです。錫杖を引きずりながら「火の用心」をしたお話や、子供の頃二階に登っていたずら書きをして遊んだ話もおもしろく伺いました。
 新宿の大庄屋「今井治郎三郎屋敷跡」に残された大きな門は、ちょうど修復を終え銅板がきらきら輝いていました。また、堂々とそして精巧に積まれた石垣は、当時の今井家の隆盛ぶりを伺えました。
 また、新宿地区は明治時代から絹糸を作るための養蚕が盛んだったそうです。古い家は屋根裏が産室に使われていたそうで、どの家もとても大きくて驚きました。特に、かつて蚕の種屋だったという「旧高田家(現今井左官さん)」の建物はとても大きくて驚きました。
 午後4時。予定していた3時間はあっという間に終わってしまいました。参加者の皆さんの感想にもありましたが、地元の方のお話をお聞きすること、実際歩いてみることで知らなかったことを知り、見えなかった物が見えてくることを大変実感しました。そしてなにより、新宿に愛着の念が湧いてきました。


 
旧新宿警備所
今井治郎三郎家屋敷跡


旧高田家


今井治郎三郎家屋敷跡

 


 参加者の皆さんの感想

私の町にもこんな所があったのかと改めて勉強になりました。
歩いて別な角度から見ることができた。
勝手に見るのとちがって、詳細にわたって教えていただけてよかった。
今度は鳥屋が森城にも登ってみたい。
いつも歩いているのに改めて気付くことが多かった。
前から気になっていた地区だったので参加して良かった。
木造の建物なので残すのは大変だろうけど、みんなでがんばって残したいと思った。
新宿はあたたかい人ばかり、5月第二日曜日のお祭りもおすすめ。
町内なのに新宿を歩くのははじめて。発見ばかりだった。私の家と同じ古い家があって大切にしていたことを嬉しく思った。石垣がきれいに組み込まれているのがすごいと思った。石垣の上に登ったがそこからの家並みの眺めが違って見えた。
おっぱいのお寺があると聞いていて前から気になっていた。今日は確認することができてほっとしました。
鳥屋が森城の城下の栄えた町だったということがそこここから感じられた。講師の先生や参加者のみなさんのあたたかさにも触れて良かった。
新宿は3回訪ねて2回熊谷先生のお話を聞いた。来る度に新しい発見があった。すごい地区だったなと思います。
私もほっとする田舎を望む年代になったんだなと認識した。りんごもおいしかった。
祖母が新宿出身で小さいころ遊んだ場所なのに、こんなに大きな家がたくさんある所とは知らなかった。
紀行にはいつも参加しているが、今回もいろんな発見があった。
宮宿や前田沢は新しく、もともとは新宿がおおもとと聞いて勉強になった。
熊谷先生はじめ新宿区の皆様には境内の草刈り作業までしていただいた。お薬師様と同時に頭が下がる思い。本当にありがとうございました。これからも朝日町の宝の発見に関心を持っていきたい。昔2年程下宿していたところ、懐かしく感じた。古い寺子屋のあった東永寺は庫裡がなくなって寂しいが、朝日町の城下町は新宿だなと自負しています。
歩いてみないと、説明を聞かないと、分からないことがあることを感じた。石垣がすごいと思った。
文献とか資料でしか見たことがなかったので、実際歩いて見れて良かった。
ふだん車で通って見るのと違って、家は大きいし、石垣は大きいしびっくりしました。
新宿の歴史ある古い家並みから最後に新しい新興住宅街の前に出てきて、なんだか妙なドラマチックさを感じました。熊谷さん、今井さん、本当にありがとうございました。
 

ポスター
 
講師 熊谷與志雄氏より
 感想をお聞きして、常に生活していて気がつかないところを教えてもらつた気がする。地元として益々歴史的なことをかまえながら、朝日町の一つの部落として貢献していきたい。
福区長 今井康夫さんより
 私も再発見したことがいっぱいあった。今度は区民からも再発見してもらうようなことをしていきたいと思った。





報告/安藤竜二(案内人の会)  
  

朝日町エコミュージアム