芸術とはなにか?

 「芸術家と呼ばれるなら職人と呼ばれたい」独学な自分の物づくりにどこか卑屈なものを感じ、そんなふうに思っていました。(参考作文) 
 「芸術とはなにか?」という大きな問題について、ついに明瞭な答えと出会うことができました。縁があって日本画家で京都造形芸術大学の学長千住博氏の話を聞く機会があったのです。感動して同大学のサイトを確認すると、お聞きしたお話と同じ内容についての動画を見ることができました。
 「芸術とは、イマジネーションのコミュニケーションです。自分のイマジネーションを、なんとかして伝えようとする(コミュニケーションしようと思う)その心が生み出すもの。これがあるものは全て芸術なのです。ですから人間がなにかを作ろうとする、表現しようとすることは全てが芸術的行為なのです。
 今の世の中、このイマジネーションのコミュニケーションが足らなくて起こった事件・事故があとを絶たない。相手の気持ちや、どうなるかを想像できない。コミュニケーションが置き忘れられている。今の日本は芸術的発想が弱まってしまっている。芸術的発想というのはきれいな絵を描きましょう、音楽を聴きましょうということだけではなく、自分の気持ちをなんとかして伝えたいと思う気持ちと共に、相手の気持ちも理解しよう、見てみよう、聞いてみようとする気持ち。こういうことが、芸術が教えてくれる私達のコミュニケーションの第一歩なのです。
 芸術を学ぶということは絵や音楽を学ぶということだけでなく、人間の最も大切な人間性そのものを学んで行くこと。私達は画家や彫刻家だけを育てたい訳ではないのです。芸術的発想を持ってこれからの世の中にいろんな形で貢献できる日本のリーダー達を育てて行きたいのです。テレビ番組作りも雑誌もグラフイックも教育も立派な芸術的行為です。これからは一番重要な奥深い中心に芸術的発想をおいて社会が作られていく。そんな時代が来ることを考えた時に、芸術を学ぶ意味がもっと鮮明になる時代だと思います。
 私は顔料でない蛍光塗料を使って、誰も見てなかったような、見ても描けなかったような月光に照らされた滝を表すことができました。心の奥深い部分に横たわっている神秘的な思いとか、現代人の心が置き忘れてしまったなにかに触れて人間性を回復してもらいたい。そう思って描いた作品です。
 21世紀の時代、芸術的発想がなければ日本も世界もおかしくなってしまう。一人でも多くの人が芸術を学んでより素晴らしい世の中を作ってくれることを私は期待しています。」(要約)
 長年のもやもやが、払拭されました。芸術的発想を持った職人としてさらに研鑽します!
 ※千住氏の描いた滝の絵は、吉永小百合さんのアクオステレビのCMでも紹介されています。

(2011年2月 通信「ハチ蜜の森から」No.33雑記より)


ハチ蜜の森キャンドル